エルム憲章

前文

私たちは、私たちの教育に関わる理念を内外に明示するためにエルム憲章を制定しました。

この憲章は、 私たちのめざす教育の目的と内容を宣言するものです。またこの憲章は、私たちが取り組むべき基本的な教育運動の方向を示すものです。そしてこの憲章は、私たちの実践をささえる教師集団のあり方を示すものです。

私たちは、憲法と教育基本法の理念に則り、子どもと青年の豊かな成長と発達をめざし、教育の民主的な発 展を望み、このエルム憲章にもとづいて日々の実践に励みます。

第一章 教育内容

エルムは、憲法・教育基本法に示された平和と民主主義の理念に根ざし、真理と真実に基づき、民主的な主 権者を育てる教育を行います。

(1)子どもたちの豊かな発達をめざします。 子どもたちの全面的で調和のとれた成長、発達をめざし、人格ならびに個性、知的・精神的諸能力を最大限に発達させることを目標として、教育実残に取り組みます。

(2)成長をささえ、未来を切り拓く学力をめざします。 学力を人権の問題としてとらえ、一人ひとりの発達段階に応じた学力を子どもたちが主体的に獲得するのに 必要な実践を一貫して追求します。学力を単に競争的評価の対象と狭くとらえるのではなく、子どもたちの全 面的な発達をささえ、現実の世界と生活・文化を切り拓く生きた力として、すべての子どもたちが身につける ことができるよう努めます。

(3)子どもの自治と自立、連帯をめざします。 一人ひとりを大切にした自治的な集団づくりを通して、互いに結びつく力と自己をコントロールする力、共同して質の高い文化を創造する力を養います。また、それを通して、豊かな人間観、学習観を育てます。

(4)平和と民主主義を希求し、創造的な文化を担う人間を育てます。 私たちは、個人の尊厳を重んじ、真理と平和、正義を希求する民主的で平和な社会の形成者を育てるために、 豊かな人間観と社会観、価値観を子どもの中に育むよう努めます。またヒューマニズムに根ざした創造的で豊かな文化の担い手を育てます。

第二章 教育運動

私たちは、子どもと青年の豊かな成長と発達のために、子育て・教育の協力・共同を広げる取り組みと、教 育条件の整備・改善を進める運動に積極的に参加します。

(1)父母と共同して教育に取り組みます。 親と教師の率直な話し合いを重視し、子どもに対する認識と方針を一致させ、協力・共同して教育を進めま す。

(2)地域・学校とのむすびつきを重視します。 子ども・青年のトータルな成長をめざし、地域の人々や学枚の教職員の方々との連携を進めてゆきます。

(3)ゆきとどいた教育条件の整備を進めます。 35 人学級の早期実現・私学助成の大幅増額・高校への全入・学校給食の民営化反対など、ゆきとどいた教育 の実現のためのとりくみを進めます。その際、父母会・地域・学校などとの連携を重視し、広範な運動づくりに努力します。

(4)青年の民主的成長を援助します。 社会の有能で誠実な担い手として青年が成長することを援助します。教育的観点から民主的で健全な人格の 完成のための学習、文化・スポーツ活動を組織・援助していきます。

(5)地域に根ざす塾のネットワークづくりを進めます。 地域に根ざし民主的な教育に取り組んでいる各地の塾や団体と連帯し、そのネットワークを発展させます。

第三章 教師集団

先に述べた教育内容・教育運動を推し進めるために個々の教師の自主性を尊重し、個性を生かすとともに、教師集団として団結して実践を行います。

(1)集団的英知を結集し、よりよい実践を行うために、教員集団の民主的運営に努め、一致した目標と方針で教育活動を行います。

(2)日常的な教育論議や自己批判・相互批判を重視し、個人と集団の教育力の向上に努めます。

(3)規律を重んじ、教師集団の統一と団結を守ります。

(4)学習と修養に励み、子ども・父母・地域に信頼される、教師・教師集団を目指します。